作業ミスの防止策について考える
今回は、作業ミスの防止策について考えてみます。SE作業で発生する作業ミスをどうしたら防げるか、という観点が中心です。
みなさんの周りでも、本番作業がうまくいかずトラブルになったケースもあるのではないでしょうか。そういったことを防ぐために、管理人が行っていることをあげていきます。
作業ミスの影響
作業の内容にもよりますが、好ましいことではありません。たいていトラブルに発展します。
トラブルになると、次にあげるように、ろくなことがありません。
- 人を増員しなければならない
- 緊急対応でトラブルのリカバリをしなければならない
- トラブル報告をしなければならない
- 今後の対策について問われる
- 下手すると損害賠償を請求される
プラスになることはほとんどありません。評価もさがりますし、当然信頼も下がります。
それがわかっていても、真剣に? 作業に取り組んでいないと思われる人たちがいます。なぜなのでしょうか?
なぜ作業ミスが発生するのか?
作業ミスが発生する要因としては、組織的な観点と個人的な観点に分けられます。
組織的な要因
放置状態とも見受けられます。例を挙げてみます。
- 一人で作業させている
- スキル不足の作業者に作業させている
- 手順が明確化されておらず、プロジェクトに依存している
- 環境が悪い(本番と開発の差がわからないなど)
個人的な要因
メンタル的なところが多いですね。次にいくつか例を挙げてみます。
- トラブル発生時の想像力が欠如している
- なにかあっても、迷惑掛けたくないと一人で突き進んでしまう
- 何かあったときに、報告するのが怖い
- 見ぬ振りをして、すっとぼける
そうならないために対策を打たなければなりません。
作業ミスを防止策は何か?
作業ミスの防止策、すなわち「作業ミスを防ぐための手だて」を考えてみたいと思います。
いくつかあげてみます。
- 作業段取りを練り上げる
- 一人作業にしない
- 環境を整えておく
作業段取りを練り上げる
本作業時にトラブルが発生すると、多大な時間をリカバリ作業にとられてしまいます。そうなる前に、作業段取りを作成しておきます。作業段取りを作成するためには、入念にリハーサルを実施することです。
みなさんも。小さいころから運動会のリハーサルや、発表会のリハーサルなどをやってきているはずです。
今でも、重要なイベントの前などではリハーサルを行っているでしょう。例えばデータ移行作業などです。
そこで漫然とリハーサルを行うのではなく、クリック1つ1つまで詳細化した作業手順を作成するために、リハーサルを実施するのです。
すべての手順を網羅するのはもちろん、想定されるエラーとその対応策も含めて作成しておくと本番作業時に安心できます。
作業段取りを練り上げる必要性
なぜ、作業段取りを練り上げる必要があるのでしょうか。
それは、「本番作業時に考えることをなくすため」です。
テスト機で行うリハーサルと、本番作業時では、精神面が大きく異なります。冷や汗をかきながらの作業を経験されている方も少なくないでしょう。
そのような精神状態になっているときに、作業手順書があいまいだったり、違いがあったりしたときのことを想像してみてください。
ただでさえ緊張した状態にプラスして、正しい手順を考えなければならないということです。普段ならば、なんてことない判断かもしれませんが、そういう心理状態の場合は、ミスを起こしやすい状況になっています。
自動車で目的地に行く場合でも、ルートの事前チェックをしているのとしないのでは、心の余裕が違うでしょう。ある程度ルートを調査しておけば、実際に道が通行止めであった場合でも余裕を持った対応が可能です。
リスク管理にも通じますが、先を見越して段取りを決めておくことは重要です。
特に「本番作業」という特化した状況であれば、相当に練り上げてください。
それでも、予想外のことが発生するものです。しかし、想定される事態について、数多く対策をしておけば、想定外の事態が発生する確率は少なくなります。
さらに、リハーサル時に手順を深く考え抜いた状態であれば、トラブル時に発揮できる洞察力も養えると考えます。
そうなれば、想定外の事態になっても、まったく考えていない場合よりも、はるかに余裕を持った対応ができることでしょう。
一人作業にしない
これはプロジェクトマネージャに考えてもらいたいのですが、そもそも一人で作業させることはよくありません。
みなさんも経験上わかっているのではないでしょうか? しかし、それでも一人作業になってしまう。なぜでしょうか? 原因をあげてみます。
- 原資がないこと
- スキル保有者がいないこと
原資がないこと
二人作業ができない一番の原因は、原資がないということでしょう。工数がないということと同じです。ある作業に対して、一人分しか顧客からお金を引き出せないということが原因です。
一人作業でのトラブル発生確率や、トラブル発生時の対応コストを考えてください。そして、その理由をきちんと説明して、二人作業分の工数が正当であるということを理解してもらう努力をするべきです。
その努力もなく、顧客の言いなりになっているようでは、プロジェクトマネージャとしてリスク対策ができていないことの表れです。
スキル保有者がいないこと
これも、「原資がないこと」と根本は一緒です。プロジェクトマネージャが人的資源の調整ができていないことが原因です。
すなわち要員調整が失敗しているということです。
どこかの部署からスキル保有者を見つけてくる努力をするべきです。
それも難しいのであれば、作業手順書の作成の支援を依頼したり、レビューをしてもらうなどの協力を要請してください。
一人作業をさせないこと
一人で作業は不安なものです。不安なので、次のようなことが発生しがちです。
- 自分で何とかしようとして深みにはまる
- そもそも作業の報告を怠る
- 事態の深刻さがわからず、タイムリーな報告しない、または事態の発覚を恐れて隠す
このような個人的な理由による発生要因は、二人作業にすることでほとんどが改善できます。
どうしても作業者が一人しか調整できない場合は、プロジェクトマネージャが横について作業を見守ってください。
相談できる相手がいるだけでも、作業者の不安は取り除かれます。
確かに、夜間作業の場合は、体力的にも大変です。プロジェクトマネージャは若くない人が多いですから。
しかし「トラブルを未然防止することで、先々の不要な作業の発生を防げる」と考えれば、いくぶん我慢できるのではないでしょうか?
環境を整えておく
「環境を整えておく」とは、どういうことでしょうか? これは、次の例が挙げられます。(他にもあるかもしれません)
- 本番環境とテスト環境を物理的・視覚的に分けること
- 作業場所を整理整頓すること
本番環境とテスト環境を物理的に分けること
本番環境とテスト環境が似ている場合(画面背景、ログインIDなど)、作業者が間違えて実行してしまう可能性があります。
そのため、次のような工夫をすると防げる場合があります。
- 本番機とテスト機のデスクトップの背景を違う色にすること
- 毎回ログインIDを打たせること
この考え方は重要です。作業者が考え事をしていたりすると、うっかり見落としたりしてしまいます。
できれば、「視覚効果+物理的な違い」のいくつかを組み合わせておきたいところです。
作業場所を整理整頓すること
整理整頓ですが、こんな経験があります。本番サーバー機で作業をしていた時の話です。
- 作業場所が狭く乱雑な場所だった
- マウスの置き場がないため、慣れないタッチパッドで操作していた
- 重要フォルダーを丸ごと別の場所に移動してしまった
- 再起動できなくなった
これも、作業場所が整理整頓されていれば防げた事象でした。
サーバールームなどは整理整頓されていない場合もありますし、ラック型のサーバーでは、立ち作業の場合もあったりします。
そういった悪環境である場合の対処も考えてください。現場を見ておかないと、そういう発想も思い浮かばない可能性があります。プロジェクトマネージャも現場はよく確認しておくべきです。
まとめ
管理人も数多くのトラブルに見舞われてきました。トラブル発生後の対応ほどむなしいことはありません。
あの時こうしておけば良かったなどと後から考えても仕方ありません。
できうる限り作業ミスを減らすべく、頭を使ってみてください。
本当に些細なことでも、トラブル発生の原因になることがありますから。少しでも怪しいとか危ないと感じたことには手を打っておきましょう。
まさにリスク管理です。
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