プロジェクトマネージャとプログラムマネージャの違い
PMBOKガイドには、プロジェクトマネージャとプログラムマネージャという2つの用語が出てきます。
それも読み始めるとすぐにです。その違いについて、試験問題にも出題されることがあるようです(特に情報処理技術者プロジェクトマネージャ試験)。
プログラムマネージャとは一体なんでしょうか?
ちなみに、PMIでは、プログラムマネージャ試験も実施されています「プログラムマネジメント・プロフェッショナル(PgMP)」。
プロジェクトマネージャとプログラムマネージャの違い
先に結論を書きましょう。管理人は、こう考えています。
プロジェクトマネージャ
- 現場責任者(現場対応者の長であることから)
プログラムマネージャ
- 組織的対応者(現場責任者を管理・監督することから)
それでは、具体的な説明をしていきます。
プログラムマネージャとは?
実務上聞いたことがない
そもそも「プログラムマネージャ」という言葉は、今までの業務経験上、聞いたことがないと思います。
実際、管理人もPMBOK ガイドを読み始めて初めて知った言葉です。最初は、PMBOKガイドを読んでも、よく違いがわかりませんでした。
間違ったイメージ
特に「プログラム」という響きが、なんとなく下位にあたるような気もしてきます。
しかし、PMBOKでの定義はそうではなく「プロジェクトマネージャよりも上位の立場である」と、説明されています。
PMBOKでの説明
「プログラム」の定義について、PMBOKガイド第5版から引用します。
1.4.1 プログラムマネジメント プログラムは、プロジェクトの個別的なマネジメントでは得ることのできないベネフィットを得るために、調和のとれた方法でマネジメントされるプロジェクト、サブプログラム、およびプログラム活動のグループとして定義される。・・・・
申し訳ないのですが、これをそのまま理解することは難しいようです。
PMP試験対策本などでは、もう少し平易な言葉で解説してくれていますが、そのままでは実務に役立てるのも難しいでしょう。
そこで、無理やりですが、実務上に当てはめてみましょう。
プログラムマネージャを実組織に当てはめてみる
職制について
みなさんの職場でも職制というものがあると思います。みなさんの職場と同じではないと思いますが、このようなイメージではないでしょうか。
プロジェクトマネージャの職制上の位置
プロジェクト型組織の場合、課長がプロジェクトマネージャを兼務している場合があります。数百人月の大規模プロジェクトなど該当するでしょう。
上記の職制に当てはめてみると、次のようなイメージでしょうか。
△△プロジェクトの構成を見てみましょう。
- プロジェクトマネージャは、A課の課長が担当
- プロジェクト構成要員は、A課の課員たち(課員あ、課員い・・・・)
- A課は、1部に属している
複数のプロジェクトを束ねる職位
このようなプロジェクトマネジメントを行う課長が複数存在する「部」があるとすると、部の長である「部長」は、個々のプロジェクトの管理は行いません。
複数のプロジェクトを管理する立場です。組織的な立場で、複数プロジェクトの進捗管理や原価管理、はたまた、問題解決なども行っています。
このようなイメージでしょうか。
さらに上位の職位
さらに上位の職位として、複数の「部」を管理する本部長がいます。
複数のプログラムを管理するという意味で、「ポートフォーリオマネージャ」に該当するでしょう。
誰がプログラムマネージャなのか?
プロジェクト型組織で例を挙げたのですが、複数のプロジェクトを管理するのが「プログラムマネージャ」と呼ばれることを頭に入れてください。
たいていは、課長以上、特に部長以上に該当する立場の人たちが、プログラムマネージャに該当することが多いことでしょう。
実際に職場で観察してもらうと、社内進捗会議のような場において、プロジェクトマネージャの課長が、部長から絞られているシーンをお目にかけることもあると思います。
現場責任者と組織的対応者
これは何を意味するのでしょうか。このような意味で考えることもできると思います。
プロジェクトマネージャ
- 現場責任者(現場対応者の長であることから)
プログラムマネージャ
- 組織的対応者(現場責任者を管理・監督することから)
現場責任者
現場責任者は、プロジェクトという現場を管理する立場であり、現場で発生するあらゆる事象について管理・対応します。
組織的対応者
組織的対応者は、現場責任者からの報告から、テコ入れなどの必要性などについての組織的対応を行います。
現場責任者と組織的対応者の違い
冒頭でも書きましたが、これがプロジェクトマネージャ(現場責任者)とプログラムマネージャ(組織的対応者)の違いと考えています。
プログラムマネージャとは「複数のプロジェクトを、調和のとれた方法でマネジメントし、ベネフィットを生み出す活動をする」こと。
すなわち「プロジェクトマネージャがマネジメントするプロジェクトを、組織的な立場で複数マネジメントし、組織に対してベネフィット(利益)を生み出す活動をする」ということです。
ちなみに管理人は、平社員の課員なので、中〜小規模プロジェクトのプロジェクトマネージャであり、課長+部長のコンビからよく絞られていますが・・・
まとめ
PMBOKの用語はとっつきにくく(無理やり和訳している気もする)、内容が抽象的で、高尚(学術的)な内容になっており、そのままでは理解が困難です。
そのため実務では使わないものが多数出てきます。このことが、PMBOKは使えないという議論に発展します。
しかし、その用語の内容をよくイメージしてみると、「このことを言っているのか」と腑に落ちることと思います。
これまで、なかなかうまい言葉で表現できなかったことが、PMBOKを学ぶことで、要点を一発で表現できたりすることが多々あります。
食わず嫌いにならず、しっかりと用語の意味をイメージして、できれば自分の今までの業務経験と照らし合わせることで、実務で有効に使いこなせます。
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