監視・コントロールプロセス群とは一体何をするのか
PMBOKのプロセス群の中には、「監視・コントロールプロセス群」というものがあります。
「計画プロセス群」に比べると地味な印象ですが、実際はプロジェクトマネージャの真価を発揮するプロセスではないでしょうか?
今回は、その中でも「監視」について考えてみたいと思います。正しく監視することがプロジェクトの正否を握る鍵だと考えています。
正しく監視すること
監視とは?
「監視」という日本語はいやな響きですね。監視社会などネガティブなイメージが浮かんできます。英語では、Monitaring(モニタリング)という言葉です。こちらのほうがいい響きですね。
「監視・コントロールプロセス群」は、PMBOKのプロセス群の構成では、次の位置にいます。
実行中の作業に対して監視を行い、計画値とのずれがないか、リスクの予兆はないかといったことを計測していき判断します。
このことから、監視はプロジェクトマネージャの役割の一つです。しかもプロジェクトの成否を握る重要な作業です。
正しく監視するとは?
監視した結果が正しいことを指しています。実行プロセスで発生したあらゆる実測値(進捗や品質など)が正しいことです。
発生したあらゆる実測値は、誰が報告して誰が集計するのでしょうか?
- 報告:作業担当者
- 集計:作業の管理者
この「報告」が正しく行われて、「集計」が正しく行われていることを、監視しなければなりません。この監視はプロジェクトマネージャの役割だと、管理人は考えています。
監視の方法
プロジェクトマネージャはセンサーを研ぎ澄まさなければなりません。まさに、センサーの塊となってモニタリングしていくイメージです。
少しでもリスクの予兆を発見したら、すぐに行動です。事実を確認し、是正方針を検討、すぐに統合変更管理を通して、行動しなければなりません。
ほぼすべての知識エリアの内容を監視します。そのために、作業者であるプロジェクトメンバーから、作業パフォーマンス・データの報告を受けなければなりません。
正しく監視することを阻害する要因
これが一苦労なのです。PMBOKの図では、データの流れが「スムースできれい」に流れていくような図になっているのですが、実際はこのようなことはありません。
まあ、PMBOKは理想像ですから。この理想に近づければ、プロジェクトも成功に近づいていくイメージです。
話がそれましたが、作業パフォーマンス・データが、正しい内容でタイムリーであれば、プロジェクトマネージャのセンサーも正しく作動します。
しかし、そうでない場合は、プロジェクトマネージャのセンサーは誤った情報をとらえてしまいます。
たとえば「報告が誤っている」、「報告が遅い」など、正しくない情報が上がってきた場合は、誤った判断をしてしまいます。
PMBOKでは、正しくてタイムリーなデータがあがってくる前提なので、実務に適用しようとした場合は、そのまま鵜呑みにしてはいけません。
どうすれば正しく監視できるか?
現場に赴くこと
人は信じても仕事は信じるな、とよくわからない話になってしまいますが、プロジェクトマネージャは、整理されてきたデータだけ確認するのではなく、現場に赴きメンバーと会話するようにしてください。
メンバーの顔色を見たり、声音を聞けば、進捗状況が思わしくないのか、悩みがあるのでは? といったことに気づけます。
ただし、間にリーダーがいる場合は、最初はリーダーを経由して確認してください。そうしないと、リーダーとの人間関係にひびが入る場合がありますので注意です。
まずは、リーダーに諭すようにメンバーの状況を見るように伝えます。それでもたまにはプロジェクトマネージャが直接メンバーに声掛けしてください。雑談のような内容でもよいと思います。
メンバーもプロジェクトマネージャに声を掛けてもらうとうれしいものです。
やっぱりフェイスツーフェイス
そうやって、気を回すこともプロジェクトマネージャには必要です。やはりコミュニケーションはフェイスツーフェイスが一番なんですよね。五感で感じ取れますから。
脱線してしまいましたが、監視を効率的かつ正確に進めるためには、机上だけでは難しいということです。なぜなら監視する相手は人間だからです。
そして、監視されているとメンバーに思わせないそぶりも重要です。あくまでも「モニタリング」の響きで監視してください。
まとめ
PMBOKでも違和感を覚える日本語訳の一つが、この「監視」という言葉です。素直に「モニタリング」と使えば良いと思うのですが、昔からこの言葉です。
PMP試験対策としては、そのまま覚えてください。
しかし、実務では「監視」とか言い始めると、このプロマネ大丈夫か? と心配されるので注意してください。
管理人も「監視」という言葉は一切使っていません。
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